たまきのそばじょーぐーへの道①

目指せ、沖縄そば29杯! どの店も「いい味」出してます

沖縄そば。本土でいう「そば」とはまったく姿の異なるそれは、沖縄県民のソウルフード。県外に住んでいた時は、ふとした瞬間に恋しくてたまらなくなる食べ物です。その沖縄そばを、どのぐらい愛しているのかを確かめるべく、自分との戦いに挑むことをここに宣言します! 

今回は那覇市の平和通り商店街にある、まちぐゎー案内所・ゆっくるが発行する「ゆっくる新聞」と沖縄そば店のコラボ企画ー「那覇まちぐゎー沖縄そばスタンプラリー」に参加。1カ月で全29杯を必ず食べ切り、沖縄そば好きを表す「沖縄そばじょーぐー」の称号を目指します。


 【1杯目】陽気な姉と内気な妹が出迎え・・・「八重山そばあんつく」


 思い立ったが吉日!  7月26日に意を決して全29杯のスタート地点に立つ。

 「ゆっくる新聞」を広げてにらむこと数分、むつみ橋通りにある「八重山そば あんつく」を1杯目に指名(勝手に)。29杯食べられるのか、店の人と上手に触れ合えるのかという不安も手伝い、及び腰で恐る恐る始まった…。


 お昼すぎに訪ねたこともあり、店内はちょうどお客さんが途切れていた。店主と思われるおばちゃんもテレビを見ているので私も落ち着きと自信を取り戻し、何食わぬ顔で席に座る。やさしそうなおばちゃんは、「ちょっと待ってね、彼女がいないから私がやるのかねー」と言いながら店の主人を探しに店外へ。


 ひとり取り残された私はたちまち心細くなって、壁に張られたメニューやテレビを眺めてしまう。


 しばらくすると、先ほどのおばちゃんが、貫禄のある女性と一緒に現れる。店主さんに違いない。「何にする?」と聞かれ、せっかくなので八重山そばを頼んだ。


 調理している間に、おとなしそうなおばちゃんが「彼女は姉なの」と話してくれた。姉は濃いめの性格で名をせっちゃんと名乗り、妹をれいちゃんと紹介してくれた。この辺りから親戚のおばさんの家へ遊びにきたような空気感。「なんだなんだ、なにビビってたんだ私」と完全に空気になじむ。


 主役の八重山そばが届く前に、れいちゃんが「そばの出汁を取った後のかつお節を使った佃煮(つくだに)よ。おいしいから食べて」と、佃煮を出してくれる。ご飯が何杯でも進みそうな甘辛い味付けでうれしいおまけだった。れいちゃんとテレビを見ながらしゃべっていると、八重山そばが出てくる。なぜかサラダ付き。胡麻ドレッシングがかかったキャベツの千切りのサラダとかつお節の佃煮と八重山そば。それが私のそばじょーぐーへの道の1杯目だ。


 せっちゃんによると、八重山そばの特徴は「沖縄そばと違って刻まれた豚肉とかまぼこがそばの上に乗り、麺はスパゲティのような丸麺」。かつおにほんの少しだけ豚骨の出汁を使うスープは、あっさりとしていて全部飲みほして完食した。


 写真撮影に忙しい私に、「県外から来ると、珍しいんだはずねー」とせっちゃん。れいちゃんが「違うってよ、那覇ってよ」と応えるやりとりに癒やされる。せっちゃんは「若い子はやっぱり違うねー、全部写真に撮るんだねー」と笑う。


 「29杯完食を目標に、食べながら記事を書くんです」と話す私に、「がんばってねー、大変だねー」「具志堅用高さんもよく来るよ。用高さんの写真も撮っていきなさい」と、もう親戚のおばちゃんたちに応援されている気分になってきて、「29杯食べきったら、30杯目を食べにきます!」と宣言していた。


 このとき私は、これからの過酷な旅路を知る由もなかったから、そんなことが言えたのだと今は思う…。

 お会計後の撮影にもノリノリでポーズを取ってくれるせっちゃんと、はにかみながらたたずむれいちゃんとのギャップがあまりにも大きくておもしろすぎた。


【筆者・たまきのそばデータ】

・店名:八重山そば あんつく(那覇市牧志3-1-1、電話080ー8354-8699)

・メニュー:八重山そば600円(量は2時間前に弁当を食べた私でも完食できるサイズ)

・雰囲気:アットホームな感じで女性ひとりでも入りやすい。地元客、観光客比率は半々。

【2杯目】おばぁの家でぜんざいまで・・・「茶屋すーじ小」


 1杯目のせっちゃん・れいちゃんの余韻がまだ残る2日後の28日、2杯目となるそばを食べに私は壺屋を汗だくで歩く。近ごろの沖縄は異常な暑さ。予定では10分もかからず到着のはずだが、すーじぐゎー(筋道)で迷いに迷っていつまでたってもたどり着けない。地図が読めなくて逆さにしてしまうタイプなので、グーグル先生もさぞかしご立腹だったに違いない。


 20分ほど迷ってようやく到着。「茶屋すーじ小(ぐゎー)」は、大通りからちょこっと脇道に入るだけの簡単な道順だったことに愕然…。


 気を取り直して看板のかかる一軒家の前に立つ。窓が開け放たれ、板の間がすべて見渡せる入り口に、どこから入ろうか迷ってしまう。店の奥から店主らしき女性に「どこからでも、好きなところにどうぞ~」と声をかけられて目の前からダイレクトに入って座る。今回は親戚の家というよりおばぁの家へ遊びにきた感じの雰囲気。


 そばを運ぶ店主の国吉さんとのんちゃん(店の猫らしい)が一緒にやってくる。写真をお願いしたら、「ちゃんと塗れているかねー」とメークを気にするそぶりがかわいくてときめく。


 国吉さんによると店は築100年の古民家で、祖父の母の家らしい。そば屋以前は焼き物の職人相手にご飯を出していたが、「一番おいしい」祖母のそばに絞った。「『ばあちゃんの味でそば屋をやろう』と、ばあちゃんの娘である私の母が店を出した。親子で受け継ぐばあちゃんのそば。私風に、少しアレンジは加えてるけどね」と教えてくれた。

出汁について尋ねたら、「かつおと豚骨と、あとは愛情さ~♡」と笑顔で答え、「ごゆるりと~♪」とのんちゃんと一緒にキッチンに戻って行った。


 そばには大きめに切られた豚肉と刻まれた卵焼きが乗っていて、かまぼこより卵が好きな私にはうれしいトッピング。豚肉は硬すぎず柔らかすぎず、出汁もさっぱりしていてお箸がどんどん進む。「ばあちゃんの味」というだけあって、食べた後に安心感があり定期的に食べたくなる、好みの味でありました。


 忙しそうな時間帯を避けたのもあり、お客さんもキッチン前のカウンターの方たちだけだったので、広々とした店内は私の貸し切り状態。民謡の流れる心地いい空間の中、板の間にあぐらをかいてのんちゃんと遊んだり、飛んできたカナブンや庭のオオタニワタリの大きな葉っぱや夕立の空を眺めたり。蚊取り線香の匂いとおなかが満たされた安心感で眠くなってきて、人の家なのに、いやいやお店なのにくつろぎすぎて昼寝をしたい気分に駆られ、困りまくり。

そして、登場するはぜんざい。「ぜんざい食べたの何年ぶりかしら」と思いつつ、小ぶりのぜんざいがあまりにもかわいく、見つめていると溶け出したので焦って食べる。やさしい甘みと、溶けかけた氷の中に白玉を見つけてご満悦。


 これ以上いると、本当にそのまま寝転がる勢いだったので、後ろ髪引かれつつお会計。ここでもまた例の「29杯食べたら戻ってきます」宣言をして、お店を後に。


【筆者・たまきのそばデータ】

・店名:茶屋すーじ小(那覇市壺屋1-15-23、電話090-9788-4849)

・メニュー:沖縄そば500円、ぜんざい350円(量は、またもや2時間前に弁当を食べた私でも完食できるサイズ)

・雰囲気:ばあちゃんちにきた感覚でのんびりできる。もちろん女性ひとりでも入りやすい。

【3杯目】うなぎが乗る沖縄そばとは? ・・・「味の店ぼんぼん」


 「ばあちゃんちまた行きたいぜ」と、壺屋のすーじ小が恋しくなるも、あと27杯食べないと戻れないなぁと先行きの遠さを実感する。そして4日後の8月1日。選んだのは、その日からスタンプラリーに参加の「味の店ぼんぼん」(市場本通り)。普段から、バイト中のお昼ご飯に、「うなきゅう」を買いに来ていたうなぎの名店だ。沖縄そばがメニューにあるのを知ったのは今回のこの企画でした。ありがたや。


 細長く少し薄暗い照明の店内に遠慮がちに入る。男性も女性もひとり客が多く、私はカウンターの真ん中に座る。メニューを手に取り思い出す。「そうだ!  私、弁当食べた」。どれだけ太るつもりなのか・・・、私は何を目指しているのか・・・。人生の迷子になりそうな食欲の夏だけど、太ろうとなんだろうと29杯食べて、その向こうの景色を私は見たいんだ。

選ぶはもちろん、うなぎ乗せと書いてあるぼんぼんそば。体重を気にして小サイズを選んでしまう。店内の写真を撮りながら、ふと気付いた。机の上に「ゆっくる新聞」を広げた男性客を。勝手なライバル心に火が付き、鋭い目つきでそばをすする姿にただ者じゃない感触を覚える。「あの人は何杯食べたのかなー」と思いながらも、平常心を装う。


 そうだ、誰かとの競争じゃない、自分との戦いなんだと思い直し、私のために作られた1杯と向き合うために心を整える。


 やってきたぼんぼんそばは、2杯目までと明らかに風格が違った。メニューに記載のあった赤だしスープの言葉通り、濃い色のスープとそれに合わせたうなぎ、紅ショウガとネギの挿し色のコントラストも映えている。そして、うなきゅうも二つ添えられて360円とな。コストパフォーマンスの良さは、ダントツで上位に食い込んだ。


 「お味はいかに」と偉そうにひと口。濃い味を想像していたら思っていた以上にあっさりしていて、本当に赤だしなのかと疑問に思うほどだった。するすると食べ進め、おなかに負担もなくあっという間に完食。ここまでの3杯はすべてスープまで飲み干すという自分ルールも守り切り、いざ会計へ。


 レジに立つおじちゃん(店長さんかな? )によると、「元々は賄い料理。おいしそうだから、メニューに出してみたらとお客さんに勧められたのが始まり。赤だしなのにあっさりしていて、味噌を使ったそばは珍しいとよく言われる」とのこと。


 人見知りのようでずっと目は合わせてくれないものの、しっかり話をしてくれるところに人柄のよさが感じられて、今までうなきゅうを買いに通っていた自分の選択が正解だったことを悟る。


 店長さん曰く「スタンプラリーのお客さんは何人か来ていて、もう10杯近く食べた人もいた」そうで、先ほどのあの男性に違いないと確信。人見知りの性格とは裏腹にバッドシーサーと書かれたTシャツのギャップがかわいすぎて、ときめきが止まらなかった。 ここでも得意の宣言、「29杯食べたら、また…」(以下割愛)。


【筆者・たまきのそばデータ】

・店名:味の店ぼんぼん(那覇市松尾2-8-30、電話098-863-4696)

・メニュー:ぼんぼんそば(小)360円(量は2時間前に弁当をやっぱり食べてても余裕で完食でき、何なら小さいそばならもう1杯食べられるかもと思えるサイズ)、普通570円

・雰囲気:細長く薄暗い照明なので、人見知りでも入りやすい。もちろん女性ひとりでも入れる。


 たまきのそばじょーぐーへの道はまだまだ続きます・・・。


たまきまさみ

記事・沖縄タイムスより引用

よだれが出てきそうな、面白い記事発見しました。

そば屋~もこだわりがありますから、食べ比べしましょう。お気に入りのお店見つけたら、嬉しいですねー

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